反面調査が入るパターンとその予防について②   

前回は取引先へ税務署からの反面調査が入る主なパターンを解説しました。

これを踏まえた上で、今後どのようにして反面調査を予防していけば良いのかを解説します。

反面調査をされないためのポイント

税務署は納税者本人の税務調査については、他者に公開することはありません。

しかし、反面調査については取引先に出向き、「株式会社○○さんの取引について反面調査させて欲しい」等とはっきりと伝えられます。

このことによって、今後の取引に影響を出さないためにも、反面調査には入られないようにしたいものです。そのためには、次のような事が大切です。

①取引の資料は必ず保存しておく

税務署側も取引の事実となる証拠が納税者の方から確認できないために反面調査に入る場合が多いわけですから、日ごろから過去の請求書・領収書などの資料は大切に保管し、いざ税務調査が行われた場合には、調査官に提示できるように、日付順に整理しておくことが大切です。

②特殊な取引についてメモを残す

請求書や領収書を提示することができたとしても、その書類を見ただけでは、はっきりとしない取引も存在します。

例えば、長期間支払していない外注費や、何らかの理由で当初の売上から大幅な値引きを行った場合などが考えられます。

特に消費税関係は、令和5年10月より始まるインボイス制度により、より厳格な請求書等の保存が要求されます。

このような場合に、数年前の取引を経営者本人の記憶だけではしっかりと調査官に説明できないことがあります。

特殊な取引に至った経緯を調査当日にしっかりと説明できるようにメモを残すなどして、正確に記録しておくことが望ましいでしょう。

③税務調査に協力する

反面調査に入られてしまう主な理由は、正確な取引実態が把握できない場合です。

こちら側が税務署の調査に協力せずに必要な情報を提供しないような場合にも、反面調査に入られてしまうことがあります。

実際に、税務署からの質問に回答せず、調査官の訪問にも全く対応しなかったケースでは、すべての取引先に反面調査されたこともありました。

税務調査の早期終了のためにも調査にはできる限り協力すべきでしょう。

④正確な申告をする

売上の計上漏れが非常に多く、取引先も多数あることから、正確な売上金額の把握が難しいと判断された場合にも反面調査が行われる可能性が高いです。

確定申告書を作成するに当たって、日々の帳簿を付けずに売上を集計した場合、このように多額の売上計上漏れへとつながります。

あまりに申告書の間違いが多い場合、申告書の信ぴょう性そのものが疑われてしまうため、日ごろから正確な帳簿を作成することを心掛けましょう。