確定申告の無申告のペナルティとは?期限後申告の受付期間についても徹底解説

確定申告は、申告期限が決められています。定められた期限までに確定申告をしなかった場合は「無申告」の状態となり、申告をしなかったことに対するペナルティが科せられることをご存じでしょうか。

しかし、うっかり確定申告を忘れてしまっていた方や確定申告の必要性をしっかり認識していなかったために無申告の状態になってしまっている方も、期限後申告を行えばペナルティを軽減できる可能性があります。

そこで今回は、無申告の際に受けるペナルティと期限後申告の方法や受付期間について解説していきます。

確定申告をしない「無申告」の2つのペナルティ

無申告とは、確定申告をしていない状態を指します。確定申告は1年間の所得と所得に応じて課せられる税額を計算して、税務署に申告、納税をする一連の手続きです。

確定申告をしていない無申告の状態は、納付すべき税金の額も計算しておらず、納税も怠っている状態となり、無申告の状態が発覚した場合には、次のようなペナルティが科せられます。

加算税が発生する

一定以上の所得を得ている個人や法人は、申告期限までに確定申告を行って、所得税や法人税の申告を行うと同時に納税をしなければなりません。しかし、確定申告をしていなかったり、確定申告の申告内容に誤りがあったりした場合などは、加算税の支払いが求められます。加算税とは、期日までに必要な税額を納付しなかった場合に、本来納めるべき税額に上乗せして課せられる税金のことです。

無申告の場合には、次のような加算税や延滞税が課せられます。

無申告加算税

無申告加算税は、確定申告を申告期限までに行わなかった場合に課せられる税金です。無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分に関しては20%が加算されます。

ただし、申告をする意思があったと認められる場合であって、法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告を行った場合には無申告加算税は課されません。

また、税務調査の事前通知を受ける前に、自主的に期限後申告をした場合は無申告加算税が5%に軽減されます。

重加算税

重加算税とは、仮装または隠蔽の行為が確認できた場合に課せられる最も重いペナルティです。申告すべき所得があるにもかかわらず所得がないように装ったり、事実を隠蔽したりして、確定申告を行わずに無申告の状態であったと判断された場合には、無申告加算税に代えて重加算税が課せられます。

無申告の場合の重加算税の課税割合は、本来納付すべき税額に対して40%となります。

延滞税

延滞税は、税金の納付が遅れたことに対するペナルティの意味合いを持つものです。原則として、法定期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する額が自動的に課せられます。

延滞税の額は、令和3年1月1日以降の割合は、法定期限の翌日から2か月を経過する日までは原則として年7.3%、法定期限の翌日から2か月を経過した日以降は年14.6%の割合で課税されます。

しかし、延滞税はこの割合と銀行の平均貸付割合に年1%の割合を加算した利率のいずれか低い割合が適用されることになっています。そのため、令和5年の延滞税の割合は、法定期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.4%、法定期限の翌日から2か月を経過した日以降は年8.7%が適用されることになります。

青色申告の取り消し

法人の場合、無申告の状態には加算税や延滞税が課されることに加えて、青色申告が取り消されるというペナルティが科せられます。青色申告が取り消されるケースは、2事業年度連続して、期限内に申告書を提出しなかった場合です。

青色申告が取り消しになってしまうと、赤字が出た場合でも翌年以降に損益通算ができなくなり、納税すべき税額が多くなります。また、一定の固定資産を取得した場合に利用できる特別償却・税額控除も適用できなくなるなど、さまざまなデメリットが生じます。

期限を過ぎてしまったらどうすればいい?

前述したように、確定申告の申告期限を過ぎてしまったら無申告加算税や重加算税、延滞税などが課せられるリスクがあり、さらには青色申告が取り消されてしまう可能性もあります。では、法定期限を過ぎてしまった場合はどのようにすればよいのでしょうか。

期限後申告を行う

法定期限を過ぎてしまった場合でも、確定申告はできます。期限を過ぎてから行う確定申告を「期限後申告」と言います。期限後申告を行うと、無申告加算税が軽減されるなどのメリットがあるため、期限までに確定申告ができなかった場合も出来るだけ早めに期限後申告を行いましょう。

期限後申告の受付可能期間

確定申告の法定期限が過ぎてしまっても、後から期限後申告ができる旨をお伝えしました。しかしながら、期限後申告ができる期間は決められています。

確定申告の法定期限と期限後申告ができる範囲について確認をしておきましょう。

確定申告の期限は毎年決まっている

個人の確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日までと決められています。受付最終日が土曜・日曜・祝日などにあたる場合は、その翌日が期限となります。

また、法人の確定申告の期限は決算日を基準に決められています。法人は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に確定申告を行う必要があります。

期限後申告は原則5年まで受付可能

これまで確定申告をしていない無申告状態だった場合でも、期限後申告では過去5年分までさかのぼって申告をすることができます。

期限を過ぎた場合でも期限後申告を行おう!

確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、自主的に期限後申告を行えば、次のようなメリットがあります。

無申告加算税を軽減できる可能性がある

無申告加算税は、期限後申告であっても、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われたものであれば、無申告加算税が加算されません。

また、税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%が加算される無申告加算税が5%にまで低減されます。ただし、税務署から税務調査の事前通知を受けた後に期限後申告をした場合は、50万円までは10%、50万円までは15%の課税割合となります。

いずれにしろ、自主的に期限後申告を行えば、税務調査で無申告状態を指摘された場合に納める無申告加算税に比べて課税割合を軽減することができるのです。

また、無申告加算税に加えて課せられる延滞税は、日割りで計算されます。少しでも早く期限後申告をすれば、延滞税の負担も軽減することができます。

払いすぎた税金が戻ってくる可能性がある

期限後申告では、払いすぎた税金が戻ってくる場合もあります。具体的には、事業に損失が出ていた場合や投資などで損失が出た場合などです。また、給与所得者であっても年末調整時に申告をし忘れた控除がある場合や、住宅ローン控除などを行わなかった場合に期限後申告を行えば、還付を受けることができます。

期限後申告の流れ

期限までに確定申告をしていない方は、早めに期限後申告を行いましょう。ここでは、期限後申告のやり方についてご説明します。

期限後申告で準備するもの

期限後申告であっても必要な書類は、確定申告の提出書類と同じです。

個人が期限後申告を行う場合に必要になる書類は次のようなものです。

・確定申告書

・本人確認書類

・青色申告決算書や収支内訳書等の所得金額が分かる書類

・控除対象となる書類

青色申告か白色申告かによって必要となる書類は異なります。また、青色申告を行う場合でも控除を受ける額によって必要書類が変わってきます。

また、法人が確定申告を行う際に必要な書類は次のようなものです。

・法人税申告書及び地方法人税申告書

・法人事業概況説明書

・勘定科目内内訳明細書

・決算報告書

・適用額明細書(租税特別措置を適用する場合のみ)

・法人住民税の申告書

・法人事業税の申告書

・消費税及び地方消費税の確定申告書(課税事業者のみ)

期限後申告の申請先

期限後申告であっても、申告書の提出先は管轄している税務署になります。提出方法は、管轄の税務署に直接持参する方法のほか、郵便で送付する方法、e-Taxで申請する方法があります。

申告内容が間違っていた場合は、修正申告も可能

期限内に申告はしたものの、申告期限が過ぎた後に申告内容に誤りがあることに気が付くケースもあるでしょう。その場合は、修正申告ができます。

修正申告を行う場合は、税額を実際よりも多く申告していた場合と実際より少なく申告していた場合で手続きが異なります。税額を実際よりも多く申告していた場合は、「更正の請求書」を税務署に提出します。反対に、税額を実際より少なく申告していた時には「申告表第一表」と「申告書第二表」を税務署に提出します。この場合は、過少申告加算税が課される可能性があります。また、確定申告期限内であれば、改めて申告書等を作成し、申告期限までに提出すれば問題ありません。

期限後申告のお問い合わせは中村葵会計事務所へ!

確定申告をせずに、無申告状態になっている方はできるだけ早めに期限後申告をしましょう。自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税も軽減できる可能性が高くなります。

また、税務調査の対象となり、税務調査において無申告の状態にあることが発覚すると、より高額な無申告加算税が課せられるだけでなく、法人の場合は青色申告が取り消されてしまう可能性があります。青色申告の取り消し処分になると1年間は再申請ができません。青色申告は申請の翌期から適用されるため、再適用は最短でも翌翌期となります。青色申告取り消し期間は白色申告をしなければならないため、その間は青色申告をする際に受けられる欠損金の繰越控除等、さまざまなメリットが適用されなくなってしまいます。

しかしながら、過去にさかのぼって期限後申告をするとなると手間も時間もかかります。兵庫県姫路市の中村葵会計事務所では、期限後申告にお悩みの方をサポートしています。期限後申告を検討されている場合やこれまで無申告状態を続けてきてしまった場合は、ぜひお早めにご相談ください。